従業員を解雇した場合、従業員の求めがあれば、解雇理由証明書を交付しなければなりません。
これは、労基法22条1項に定められた会社の義務です。
労基法22条1項は、労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。としています。
これに反して、解雇理由証明書を交付しなかった場合、労基法120条1号により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
解雇理由証明書を交付したとしても、「遅滞なく」交付しなかった場合には、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
この「遅滞なく」とは、事情の許す限りできるだけ早く、というニュアンスで使用されます。
そのため、合理的な理由があれば、遅れも許されるものと考えられます。
ただ、合理的な理由と認められるかの判断は難しく、その判断を誤ると、罰金刑を科されるリスクがあります。
業種によっては、罰金刑を科されることで、各種許可等を取り消される可能性があります。
万が一許可を取り消されると、経営上、相当な影響が出る可能性がありますので、従業員から解雇理由証明書の発行を求められた場合には、できる限り早急に対応するべきでしょう。