昨日,東京地方裁判所で,家賃滞納者を追い出した大家さんに
慰謝料等約180万円の支払いを命じる内容の判決が出されました。
3か月間家賃を滞納したため,大家さんが,玄関の鍵穴部分を覆う
金属製のカバーを取り付けて住民を締め出したようです。
締め出された住民は,ホームレス状態となり,ネットカフェなどで
寝泊まりすることを余儀なくされたようです。
慰謝料約180万円は,家財道具の処分により思い出の品がすべて
失われたことや家財道具そのものの財産的価値をも踏まえたもので
あるため,他のケースで同程度の金銭の支払いが命じられるものでは
ありませんが,今後,同様のケースにおいて参考にされる可能性が
あります。
もろもろの事情で家賃を滞納する人はおり,そのような住民を抱えた
大家さんから,鍵の交換をして締め出してよいかという相談をいただく
ことがあります。
通常違法と考えられており,刑事処分すら受ける可能性がありますので,
実際にご相談をいただいた際には,やめていただくように回答をしています。
刑事処分のみならず,今回の判決のように,多額の金銭の支払いを余儀なく
される可能性もありますので,避けるべきでしょう。
時間と労力と費用が掛かってしまいますが,通常どおり,明渡訴訟を提起して,
正当な手続を経るのがよいと思います。