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労働契約法改正

今日は,弁護士会で,労働契約法改正についての研究会がありました。

 

労働契約法改正のポイントは3点。

①5年ルールの制定

→有期労働契約の契約期間が更新を含めて通算5年を超える場合,

期間の定めのない労働契約になる可能性があります。

②法定更新

→契約の更新拒絶が難しくなります。

③不合理な労働条件の禁止

→文字通り,不合理な労働条件を禁止します。

 

契約期間の定めのある労働契約をしている会社は,今後,

労働契約法改正に合わせた対応をとる必要があります。

まずは,契約期間の定めのある従業員の待遇について

考えるところから始めましょう。

無断欠勤と解雇

精神的な不調を訴える従業員が最近増えてきているといわれています。

 

精神的な不調により欠勤していると認められる従業員を解雇する場合,

通常の解雇と同様に出勤を促すことも必要ですが,

まずは,精神科医による健康診断を受けさせるべきでしょう。

そのような手続を経ていない場合には,解雇無効と判断される可能性があります。

 

裁判所も,会社は,「精神科医による健康診断を実施するなどした上で,その診断結果に応じて,

必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し,その後の経過を見るなどの対応を採るべき」

とし,この過程を経ずに行われた解雇について無効と判断したことがあります。

 

今後は,精神的不調を抱える従業員への対応が会社の課題となるかもしれません。

弁護士も,そのような会社の相談に対し適切なアドバイスができるようにしておく必要があると思います。

 

弁護士の労働者性

最近,弁護士は労働者なのか,という話をよくきく気がします。

医師が労働者に当たることがあるのと同様に,弁護士も労働者に当たることはあると思います。
弁護士について,専門業務型裁量労働制の規定があることからも,そういえるのではないかと思います。

いずれにしても,労働者性は,実際の勤務状況から客観的に判断されるので,
弁護士は労働者なのか,ではなくて,どのような働き方をすると,
弁護士が労働者に当たるのかを考えるべきかなと思いました。

管理監督者

最近は,取扱事件として,残業代請求を打ち出す弁護士事務所も増えてきたような気がします。

従業員に残業させる場合,会社は残業代を支払わなければなりません。
しかし,例外的に,残業代を支払わなくても良い場合があります。
その一つとして,その従業員が,管理監督者に当たる場合が考えられます。

間違われていることが多いのですが,管理監督者は,一般的にいう管理職と同じ意味ではありません。
管理職と呼ばれる人のほとんどが,管理監督者に当たらないのです。

管理監督者に当たるかどうかは,簡単にいえば,次の点により判断されています。
①経営者と一体的な立場にあるか否か
②自分の労働時間について自由に決められるか否か
③給与等について管理監督者にふさわしい待遇を受けているか否か

このような基準で判断すると,多くの管理職は,管理監督者には当たらないことになります。
管理監督者制度を採用する場合には,その従業員が管理監督者に当たるかどうかしっかりと確認したほうが良いでしょう。