カテゴリー別アーカイブ: 交通事故

交通事故件数

もう11月も後半に入り、もうすぐ年末です。

年末には交通事故件数が例年増加しています。

もうすぐ忘年会シーズンでもあり、事故に遭わないように気を付けて過ごさないといけないなと思います。

 

10月末時点での東京都内の交通事故件数は、昨年よりも増加傾向にあるようです。

警視庁の発表によれば、今年の交通事故発生件数は、累計で2万5701件のようです。

死者数は、累計で103名であり、昨年よりも減少していますが、交通事故発生件数と負傷者数は昨年よりも増加したようです。

 

月別負傷者数は、ほとんどすべての月で昨年を上回っており、特に10月は増加数が大きいです。

10月に特に大きく増えている原因は不明ですが、多くの方に気を付けていただきたいです。

 

死者数については、高齢者の方が多く、特に歩行中の高齢者の方の死亡事故が多いようです。

歩行中の死亡事故は、全体でも39件と約4割を占めていますので、歩行中に気を付けるだけでも、事故に遭う確率は相当に下げられるのではないかと思います。

 

歩行中の次に多いのは二輪車運転中の事故です。

二輪車は速度が出る割に身体の防御が薄く、負傷しやすいのかもしれません。

 

死亡事故が減っているのは良いことだと思いますので、事故発生件数や負傷者数も減少するとよいと思います。

自転車と青切符

自転車の交通違反に対する制度が、昨今様々変わっています。

 

少し前に、自転車への赤切符の適用が強化されました。

今年の4月からは、自転車利用者にヘルメット着用の努力義務化がなされました。

そして、自転車の交通違反に対し、青切符を適用することが検討され始めています。

 

青切符とは、比較的軽微な交通違反に対して適用されるものです。

行政手続きとして反則金の納付が通告され、違反者が反則金を納付すれば起訴されない、刑事裁判にならないというものです。

期間内に納付しない場合、起訴され、刑事裁判になる可能性があります。

 

車両の事故は、年々減少傾向にありますが、自転車事故が占める割合は増加していますし、事故件数自体が増加している年もあります。

自転車には、赤切符は適用されていますが、実際に罰則が適用されるケースは少ないという報告もあるようです。

自転車事故を減少させるべく、さらなる取締りの強化が予定されているといえるでしょう。

 

自転車事故は、場合によっては被害者を死亡させたり、重篤な障害を負わせたりする可能性があります。

取締りの強化により、自転車利用者の意識が向上することで、自転車事故が減少することが期待されます。

 

 

ヘルメット着用義務

令和5年4月1日から、自転車の運転者にヘルメット着用の努力義務が課されるようになりました。

 

自転車運転者のヘルメット着用については、道路交通法に定められています。

道路交通法の改正により、同法63条の11第1項が「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。」と定めるようになりました。

あくまでも努力義務にとどまるため、着用していないことが直ちに違法というわけではなく、罰則が科されることはありません。

この改正により、自転車利用者の意識がどの程度変わるかは今後の状況次第と思われます。

 

もともと、自転車利用者の事故が多発しており、弁護士への相談としても、自転車利用者の交通事故の相談はかなり多くなっていました。

中でも、ヘルメット非着用の事故の場合、自転車利用者が重傷を負い、後遺障害が生じるなどによって損害額が高額になることが多くなります。

ヘルメット非着用の場合、自転車運転者の過失として考慮されることもあり、過失割合が争われることもあって、特にもめやすい類型といえます。

 

後遺障害により長年にわたり症状に苦しむ方も多くいますので、そのような事態を避けるためにはヘルメットの着用が有用です。

揉め事を避けるためにも、自らを守るためにも、自転車利用時にはヘルメットを着用する方がよいと思います。

経年性変化と後遺障害等級12級13号の認定

交通事故のむちうちの事案において、脊椎の変性所見があったとしても、

それが経年性の変性である場合には、自賠責保険における後遺障害等級12

級13号は認定されないといわれることがあります。

しかし、結論としてそれは正しくはありません。

後遺障害等級12級13号が認定されるためには、局部に頑固な神経症状

を残すものであることが必要です。

局部に頑固な神経症状を残すものであるとされるには、他覚的所見により

医学的に証明できることが必要です。

上記証明ができれば、経年性変化による変性所見であったとしても、後遺

障害等級12級13号が認定される可能性があるのです。

実例として、経年性変化により後遺障害等級12級13号が認定された例

もあります。

この時の自賠責は、「提出の画像上、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見

が認められること」を指摘し、合わせて「画像所見と整合する腱反射等の神

経学的検査における異常所見が認められること」等を指摘して、結論として

後遺障害等級12級13号を認定しました。

確かに、経年性変化に伴う脊髄への圧迫所見だけでは、医学的に証明でき

るとはいえず、14級9号にとどまるとの認定をされると思われます。

しかし、それに加えて神経学的検査の結果もあると、後遺障害等級12級

13号が認定される可能性があるのです。

弁護士でもこのことを知らない可能性があり、認定される可能性がないと

の説明を受ける可能性がありますので、知っておくとよいかもしれません。

後遺障害で弁護士をお探しの方はこちら

交通事故発生状況

一般財団法人東京都交通安全協会作成の安全運転のしおりによれば、

令和元年中の全国における交通事故発生件数は38万1237件、

死者数は3215人、負傷者数は46万1775人とのことです。

交通事故発生件数と負傷者数は、15年連続して減少していると

のことです。

都内に限れば、令和元年中の交通事故発生件数は3万0467件、

死者数133人、負傷者数3万4777人とのことです。

いずれも平成30年と比較して減少しています。

 

また、一般社団法人日本自動車販売協会連合会によれば、令和2年

の新車販売台数は、普通乗用自動車、小型乗用自動車、普通貨物自

動車、小型貨物自動車、バスの販売台数は前年比87.7%とのこ

とです。

参考リンク

令和2年は、コロナの影響があって台数が減少している可能性があ

りますが、平成30年、令和元年も前年比100%未満のようです

ので、新車の販売台数は減少傾向にあるようです。

実際に走行している車両が減少しているかはわかりませんが、上記

の数字からすれば、減少しているかもしれません。

 

交通事故にあわれて苦しまれている方はたくさんいます。

走行している車両が減少すれば、交通事故も負傷者数も減少す

る可能性があります。

それにより、交通事故で苦しまれる方が少しでも少なくなるとよい

と思います。

 

ただ、弁護士法人心に相談される交通事故事件数は、あまり減少

している感じはしません。

それだけ、まだまだ多くの方が苦しまれているということだと思

います。

これからもそのような多くの方の力になれればよいと思います。

 

再度の後遺障害

交通事故によりけがをし,痛み等の症状が残った場合,自賠責保険等で後遺障害等級認定がされ,

一定額の保険金が支払われることがあります。

自賠責保険での後遺障害等級認定は,同一部位(体の箇所)に同一の後遺障害等級は認めません。

そのため,例えば,一度首の痛みについて後遺障害等級14級9号が認定された場合,同じ首の

痛みについて後遺障害等級14級9号が認定されることはありません。

 

首の痛みではなく,肩の痛みなど,部位が異なる場合には再度14級9号が認定されることはあり

ます。

 

また,同じ首の痛みであっても,以前に認定された等級よりも高い等級であれば認定されることが

あります。

たとえば,一度首の痛みについて14級9号が認定されているものについて,12級13号の認定

がされるような場合です。

 

自賠責では上記のとおりですが,裁判の場合には,同一部位に同一の後遺障害が認定される場合が

あります。

自賠責では,加重障害の要件を充たさないと認定され,非該当になっていることを認めつつ,それ

を前提に,14級相当の神経症状の残存が否定されたものとはいえず,痛みやしびれの症状が継続

していること,前回事故から一定期間が経過し,神経症状は相当程度軽減していたとして後遺障害

についての賠償を認めたケースもあります。

 

過去に一度後遺障害等級認定を受けていたとしても,再度後遺障害についての賠償を受けられるこ

ともあります。

そのようなケースでお悩みの方は,一度弁護士に相談してみるとよいと思います。

定期金賠償

令和2年7月9日に,交通事故の逸失利益の賠償について,定期金賠償を認める判

決が最高裁第一小法廷で出されました。

 

この事件は,交通事故により高次脳機能障害を負った被害者の方が,加害者に対し

損害賠償請求をした事件です。

後遺障害を負った被害者の方が損害賠償請求をする場合に,将来の収入喪失・減少

に対する賠償として,逸失利益の賠償請求をすることが多くあります。

逸失利益について,一括での賠償ではなく,定期金の賠償を求めた点にこの件の特

徴があります。

 

判決では,被害者が,「逸失利益について定期金による賠償を求めている場合におい

て」,不法行為に基づく損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められる

ときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される」としていま

す。

さらに,「交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近

い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可

能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しな

いと解するのが相当」としています。

 

そのうえで結論として定期金賠償を認めています。

 

 

一括賠償による場合,中間利息控除がされる結果,賠償額がかなり減額されるという

問題があります。

中間利息の利率については,民法の改正により一部是正が図られているといえますが,

それでもなお,被害者側から見て補償が十分とはいえないのではないかと感じられる

ところもあります。

 

定期金賠償がどのような後遺障害に認められるか,裁判所がいう,不法行為に基づく

損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められるとき」でない場合はどの

ような場合なのか,「特段の事情」が認められるのはどのような場合なのか,等,ま

だ不明確な点は残っています。

 

全ての後遺障害に認められてもよいように感じられる反面,14級9号の場合等,比

較的労働能力喪失期間が短期間に限られることがあるものなど,相当と認められるか

について評価が分かれそうな気がするものもあります。

 

今後,これらの点について最高裁判所がどのような判断をするのか,気になります。

新型コロナウイルスの影響

今日は東京でも雪が降りました。

一部積もったところもあったようです。

外を見ると,屋根の上や車の上など,雪が積もっているところがありました。

桜が咲いているところに雪が舞うというのは,それほど多くはないように思います。

 

昨日,本日と,東京では外出を控えるように要請が出されています。

これを受けて,東京都内では,通常の土日よりも外に出ている人は少ないようです。

新型コロナウイルスにより,社会に大きな影響が出ています。

各地で行われているセミナー,研修,イベントも,中止になったりオンラインになっ

たりしています。

 

弁護士の仕事としても,直接の影響だとは断定できませんが,債務整理の相談が

増えてきているように感じます。

仕事が減って収入が減り,返済が厳しくなった,賞与の減少が見込まれ,この

ままでは近いうちに返済が滞ってしまう,などと悩まれている方も多いと思い

ます。

そのような方は,弁護士に相談することで,悩みが軽減されたり解決されたり

するかもしれません。

 

相続の相談はやや減少しているように感じます。

きくところによると,外に出づらいため,弁護士事務所に行って相談すること

を控えているようなこともあるようです。

 

交通事故については,不安で通院しづらいという相談が出ています。

通院した方が体が回復しやすくなると思いますので,できる限り通院した方が

よいのでしょうが,新型コロナウイルスに感染する不安もあると思いますので,

なかなか難しいところだと思います。

医療機関の中には,コロナウイルス対策をしているところもあると思いますので,

そのようなところに通院されるのも一つかもしれません。

 

今後,社会状況がどのようになるかはわかりませんが,新型コロナウイルスの

脅威が去り,多くの方が安心して生活できるようになるとよいと思います。

 

 

 

 

 

自動ブレーキ

弁護士の仕事の一つに交通事故紛争があります。

 

交通事故を予防するための方策の一つとして,自動車の自動ブレーキの普及が進んでいます。

日本を含む多くの国が,自動ブレーキの搭載を義務付けることに合意していましたが,国内

で販売される新車について,自動ブレーキ登載を義務付ける方針で政府が調整に入ったよう

です。

 

具体的な規制の開始時期はまだ未定ですが,いずれは自動ブレーキを搭載していない新車は

販売できなくなりそうです。

 

交通事故の発生件数は平成16年で約95万件であったのが,毎年減少し続け,平成30年

は約43万件まで減少しています。

負傷者数も,平成16年で約118万人であったのが,平成30年は約52万人まで減少し

ています。

 

かなり減少してきてはいますが,まだまだたくさんの方が交通事故に遭い,負傷されています。

 

いずれは新車だけでなく,中古車にも自動ブレーキ登載が義務付けられるかもしれません。

そうなれば,交通事故発生件数,負傷者数もより減少すると思います。

これまでに発生した事故の中には,自動ブレーキを搭載していれば防げた,あるいは少なく

とも重傷者は出なかったと思われる事故も多数あるはずです。

今後,交通事故発生件数,負傷者数が減少することで,交通事故で苦しむ方が少しでも減る

と良いと思います。

 

 

交通事故損害賠償実務研修

今日は,弁護士向け交通事故損害賠償実務研修に参加しました。

 

今日のテーマは高齢者や未成年者の交通事故,高次脳機能障害の基礎でした。

13時から始まり17時ころまで行われました。

 

高齢者,未成年者の交通事故では,特有の問題がいろいろ生じますので,それを

踏まえた対応が必要となります。

厳密に言えば,交通事故に限らず高齢者,未成年者の損害賠償全般に関わる

ものも多くありますので,交通事故以外でも注意をしなければならない点が多々

あります。

 

交通事故の賠償に関しては,民法上の請求と自賠法上の請求があります。

両者は微妙に異なっているため,自賠法上の請求であれば認められるが民法

上の請求では認められないというものもありますし,逆に民法上の請求であれば

認められるが自賠法上の請求では認められないというものもあります。

この辺りを意識しておかないと,請求の仕方の問題で請求が認められないという

事態も生じかねません。

 

また,新しい裁判例なども出ていますので,日々,情報をアップデートしていな

ければ適切な対応ができない可能性もあります。

 

高齢者,未成年者の事故に関する判決として最近出されたものにJR東海事件

とサッカーボール事件があります。

JR東海事件は監督義務者が誰かという点に関する判例であり,サッカーボール

事件は監督義務者の免責事由に関する判例です。

これらの判例を意識して対応することで責任が認められたり認められなかったり

する可能性があります。

 

さらにいえば,情報を収集するだけでは足りず,これらを実際の案件でどのように

活用するかも考えなければなりません。

 

研修に参加することで,活用方法のヒントを得られることもありますし,それにまつ

わる周辺情報も得られる可能性があります。

 

研修に参加するためにはまとまった時間を割かなければなりませんが,いろいろ

得られるものがあり,有益だと思います。