現行民法では,債権の消滅時効期間は,通常10年間とされています。
10年間とされているのはあくまで原則であり,例外として1年から5年といった
短期消滅時効も規定されています。
たとえば,ホテルの宿泊料請求権は,民法174条4号により,消滅時効期間は
1年間とされています。
病院に行って診察を受けた場合の診療報酬請求権は,民法170条1号により,
消滅時効期間は3年間とされています。
民法以外の法律で短期の消滅時効が規定されているものがあります。
たとえば,商事債権の消滅時効は,商法522条により,消滅時効期間は5年間と
されています。
ところが,民法の改正により,これらの消滅時効の規定が変更されることになります。
改正民法では,民法第170条から第174条までは削除とされていますので,上記の
民法上の短期消滅時効はなくなります。
また,商事債権の短期消滅時効の規定もなくなります。
代わりに,というわけでもないですが,改正民法では,消滅時効期間について債権者が
権利を行使することができることを知った時から5年間,権利を行使することができる
時から10年間と規定しています。
消滅時効に関する規定の変更は,実務に大きな影響を与える可能性があります。
また,一時的には,各債権に対し,改正前と改正後とどちらの消滅時効規定が適用される
のか,という問題が生じる可能性があります。
改正後しばらくの間は,各方面でやや混乱が生じるかもしれません。
消滅時効が問題となった場合には,ご自身で判断せず,弁護士に相談された方がよいかも
しれません。