債権者代位権については,現行民法でも規定されています。
新しい民法でも,債権者代位権についての規定がありますが,大きく改訂
されるようです。
もともと,債権者代位権は,債務者がいわゆる無資力である場合に限り
行使可能と解されていました。
新民法では,「自己の債権を保全するため必要がある」場合に債権者代位
権が行使可能とされています。
この「自己の債権を保全するため必要がある」という言葉について,現行
民法と同様に考えれば,無資力であることを要求していると考えることに
なるでしょう。
現行民法を前提に積み上げられた判例を否定する趣旨ではなさそうです
ので,おそらく,現行民法と同様,債権者代位権は,債務者が無資力で
なければ行使できないことになるのでしょう。
また,従来は,債権者代位権の転用といわれていた登記手続請求権の
代位行使について,新民法では,別途条文で規定しています。
債権者代位権の規定において,従来の考え方を修正したとみられるのが
債務者の取立てその他の処分の権限等についての規定です。
現行民法では,債権者代位権の行使後は,一定の条件下ではありますが,
債務者は代位された債権を行使できず,第三債務者は債務者に対して
債務を履行することもできないと考えられていました。
しかし,新民法では,明確にこれができると規定しています。
この点は,従来の考え方とは異なるものですので,今後,いろいろな
影響が出てくるかもしれません。