裁判で勝っても相手方の財産状態がわからず,実質的に回収できないことがあります。
ない袖は振れないなどということもありますが,お金を持っていない人から金銭を回収
することはできません。
ただ,間違いなくないことがわかっていることは少なく,あるかないかもわからない,
というケースがかなりあるように感じます。
そういったケースでは,回収可能性を考えて,弁護士に依頼することを躊躇する,とい
うこともかなりあります。
相談を受けていても,やはり,回収可能性がネックになり,依頼はしないという方も多
くみてきました。
相手方の財産状況がわからない場合,相手方の財産を調査する補法として,弁護士会を
通じた照会手続をよく使います。
知っている銀行口座の照会,各種引き落とし口座の照会,保険契約の照会などはよく使
います。
現地調査をしたうえで,相手方の所有するものと思われる車両があれば,車両の所有者
の照会などをすることもあります。
それにより,ある程度あたりがつけられれば,強制執行手続します。
それでも財産状況がわからない場合の手続として,財産開示手続があります。
以前は,財産開示手続はあまり有効な方法ではありませんでした。
なぜなら,制裁規定が弱いなどの問題があったからです。
それでも,財産開示手続を利用することで,回収ができたケースもありました。
しかし,今年の民事執行法改正により,財産開示手続の利用可能性はかなり高まったと
いえます。
そのような中,改正後の民事執行法による財産開示手続に出頭しなかったケースで,初
の検挙者が出ました。
実際に検挙されたケースが出たことにより,今後,同様のケースでは検挙される可能性
が高いと思われます。
今後は,財産開示手続が無視されるケースは減少すると思われ,以前よりも実効性が髙
まり,利用率も上昇するのではないかと思われます。