月別アーカイブ: 2020年 10月

財産開示手続

裁判で勝っても相手方の財産状態がわからず,実質的に回収できないことがあります。

ない袖は振れないなどということもありますが,お金を持っていない人から金銭を回収

することはできません。

 

ただ,間違いなくないことがわかっていることは少なく,あるかないかもわからない,

というケースがかなりあるように感じます。

そういったケースでは,回収可能性を考えて,弁護士に依頼することを躊躇する,とい

うこともかなりあります。

相談を受けていても,やはり,回収可能性がネックになり,依頼はしないという方も多

くみてきました。

 

相手方の財産状況がわからない場合,相手方の財産を調査する補法として,弁護士会を

通じた照会手続をよく使います。

知っている銀行口座の照会,各種引き落とし口座の照会,保険契約の照会などはよく使

います。

現地調査をしたうえで,相手方の所有するものと思われる車両があれば,車両の所有者

の照会などをすることもあります。

それにより,ある程度あたりがつけられれば,強制執行手続します。

 

それでも財産状況がわからない場合の手続として,財産開示手続があります。

以前は,財産開示手続はあまり有効な方法ではありませんでした。

なぜなら,制裁規定が弱いなどの問題があったからです。

それでも,財産開示手続を利用することで,回収ができたケースもありました。

 

しかし,今年の民事執行法改正により,財産開示手続の利用可能性はかなり高まったと

いえます。

そのような中,改正後の民事執行法による財産開示手続に出頭しなかったケースで,初

の検挙者が出ました。

実際に検挙されたケースが出たことにより,今後,同様のケースでは検挙される可能性

が高いと思われます。

今後は,財産開示手続が無視されるケースは減少すると思われ,以前よりも実効性が髙

まり,利用率も上昇するのではないかと思われます。

 

再度の後遺障害

交通事故によりけがをし,痛み等の症状が残った場合,自賠責保険等で後遺障害等級認定がされ,

一定額の保険金が支払われることがあります。

自賠責保険での後遺障害等級認定は,同一部位(体の箇所)に同一の後遺障害等級は認めません。

そのため,例えば,一度首の痛みについて後遺障害等級14級9号が認定された場合,同じ首の

痛みについて後遺障害等級14級9号が認定されることはありません。

 

首の痛みではなく,肩の痛みなど,部位が異なる場合には再度14級9号が認定されることはあり

ます。

 

また,同じ首の痛みであっても,以前に認定された等級よりも高い等級であれば認定されることが

あります。

たとえば,一度首の痛みについて14級9号が認定されているものについて,12級13号の認定

がされるような場合です。

 

自賠責では上記のとおりですが,裁判の場合には,同一部位に同一の後遺障害が認定される場合が

あります。

自賠責では,加重障害の要件を充たさないと認定され,非該当になっていることを認めつつ,それ

を前提に,14級相当の神経症状の残存が否定されたものとはいえず,痛みやしびれの症状が継続

していること,前回事故から一定期間が経過し,神経症状は相当程度軽減していたとして後遺障害

についての賠償を認めたケースもあります。

 

過去に一度後遺障害等級認定を受けていたとしても,再度後遺障害についての賠償を受けられるこ

ともあります。

そのようなケースでお悩みの方は,一度弁護士に相談してみるとよいと思います。