月別アーカイブ: 2022年 6月

遺産分割と弁護士

遺産分割事件は、弁護士が関与する事件のうち比較的件数の多いものだと思います。

ただ、相続事件は、しっかりと対応しようとするとかなり難しいものだと思います。

その理由は、遺産分割においては、税金のことと登記のことを考慮しなければなら

ない場合があるからです。

 

本来であれば適用されたはずの特例が適用されない分割合意をしてしまったり、登

記申請ができない分割合意をしてしまったりというケースが見られます。

 

そもそも多くの弁護士は、法的な紛争を解決することについては得意としています

が、税金や登記については門外漢であり、あまり詳しくないように思います。

そのため、税金や登記については考慮せず、多くの場合、税金のことは税理士さん

に、登記のことは司法書士さんに聞いてくださいなどとアドバイスしているように

見えます。

それ自体は悪いことではありませんが、弁護士、税理士、司法書士にそれぞれ相談

するというのはかなり負担になると思います。

 

法律、税務、登記に詳しい弁護士に相談することができれば、それらの相談を一度

にできてしまうので、相談者の負担はかなり軽減されると思います。

また、情報共有が不十分であるなどしていずれかがうまくいかなくなるという事態

も少なくなると思います。

 

法律、税務、登記に詳しい弁護士、又は税理士、司法書士と緊密に連携できている

弁護士に相談することのメリットを多くの方に知ってもらえるといいなと思います。

 

 

管財事件と訴訟の受継

破産手続きの申し立てをする際に、すでに訴訟中の債権者がいる場合があります。

そのような場合、破産の申立準備中は、申立代理人弁護士が訴訟について対応するこ

とが想定されます。

実際に、申立代理人として申立準備中に訴訟対応をすることもあります。

 

多くの場合には、破産手続申立を行い、開始決定を受けたうえで、その旨を明らかに

すれば、訴訟は取り下げられて終了することが多いと感じます。

勝訴してもお金の支払いを受けられる可能性がなく、そこに時間や費用や労力をかけ

てもすべて無駄になってしまうからではないかと思います。

 

ただ、配当が発生するようなケースでは、訴訟が取り下げられることなく継続される

ことがあります。

請求されている債権に特に異議がない場合には、それを前提に配当がなされますが、

異議が出された場合には、破産管財人が訴訟を受継します。

ただ、当然に受継されるわけではなく、そのための手続がとられた場合に限られます。

 

管財人が受継した訴訟で請求されていた債権は、判決により請求が認容された場合や

管財人との間で請求を認める内容での和解が成立した場合、その額を前提に按分比例

による配当が行われます。

 

 

 

 

 

うつ病での障害年金受給

うつ病での障害年金申請の相談が増えているように感じます。

 

うつ病でも障害年金はもらえますか、という相談を受けることがあります。

これに対する回答は、もらえる可能性がある、です。

 

うつ病による障害年金の申請は認定される可能性がありますが、認定される

かどうかは、症状の内容や程度により変わります。

症状が軽度であり、日常生活にも仕事にも支障がないようなケースであれば、

障害年金の認定がされる可能性はないといってよいと思います。

これに対し、仕事上の支障が生じるようなケースや日常生活上の支障が生じ

るケースであれば、認定可能性はあるといえます。

 

ときどき、仕事をしているので、障害年金はもらえませんよね、という相談

を受けることもあります。

このような誤解をされている方は少なくないようですが、仕事をしているか

らといって直ちに障害年金がもらえなくなるわけではありません。

うつ病の症状により、仕事上の支障が生じているが、周囲のサポートや職場

の配慮等によって仕事ができている、という場合もあります。

仕事上の支障が見えにくくなっているだけで実際には支障が生じているとい

えるケースもありますので、仕事をしているからといって直ちに年金がもら

えなくなるわけではないのです。

 

具体的なところは個別事情によって変わりますので、うつ病で障害年金の申

請を考えている方は、弁護士等に相談していただくとよいと思います。