弁護士が相談を受けるものの一つとして、残業代請求があります。
先日、公立の小学校の教諭が残業代等の支払いを求めた裁判の最高裁での判断が出されました。
最高裁は、教諭側の上告を退けて教諭側の敗訴が確定しました。
公立の小学校の教諭の残業については、今後も残業代は支払われないこととなりそうです。
公立の小学校の教諭の残業代については、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法という法律(給特法と呼ばれたりします。)に規定がされています。
同法の第3条第2項には、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」と規定されています。
法律で支払わないと規定されている以上、なかなか教諭側の主張は認められづらいのだろうという印象にはなりますね。
一般の会社では、労働基準法により、残業代の支払いが会社に義務付けられています。
公務員については、その職務の特殊性から、一般の会社とは異なった規定がされていることがあります。
給特法の第1条には、「この法律は、国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、その給与その他の勤務条件について特例を定めるものとする。」と規定されておりますので、公務員であること(特に教育職員であること)の特殊性から、一般の会社とは異なって残業代が支払われないのだろうと思います。
立法の経緯などもみますと、教師一人一人の自発性、創造性という言葉が多用され、その上で勤務実態の把握の困難さなども指摘されています。
弁護士などの専門家に適用され得る裁量労働制と同じようなイメージでしょうか。
この法律自体は、昭和47年1月1日から施行されているようですので、だいぶ古い法律といってよいと思います。
この規定を今後も適用してよいかは、引き続き議論がされるだろうと思います。