相続土地国庫帰属法が先月から開始されています。
この法律は、主に所有者が不明な土地の発生を防止することを目的とするものです。
相続等によって土地を取得した人が、法務大臣の承認を得て土地を国に譲り渡す制度です。
制度の利用は、相続等によって土地を取得した人に限定されています。
土地を国に譲り渡すことは、土地の所有に伴う権利だけではなく義務や負担も譲り渡すことにもなります。
国が負う義務や負担は、最終的に国民の負担につながるため、一定の制限をかけたものと思われます。
この制度の対象となる土地は、限定されており、一定の要件を充たさなければ法務大臣の承認が得られません。
例えば、建物が存在する土地がこれに該当します。
ここにいう「建物」に該当するかは、土地に存在する建築物が「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの(不動産登記規則第111条)」に該当するかどうかによって判断するとされています。
建物がある場合が制度の対象外とされているのは、土地の管理に過分の費用又は労力を要するためであると思われます。
法務大臣の承認が得られた場合、制度を利用する人は、負担金を納付しなければなりません。
負担金の額は、法務大臣から通知されます。
負担金を納付しない場合、承認は失効します。
相続土地国庫帰属制度は、今後どの程度利用されるか、また今後適用対象がどこまで拡大されるか等、なかなか興味深い制度です。
適用事例も徐々に出てくると思いますので、弁護士としては今後の動向が気になります。