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医療観察法の入院処遇

こんにちは。弁護士の石井です。
心神喪失の状態等で重大な他害行為を行った者に医療を提供する制度を定める法律として、いわゆる心神喪失者等医療観察法という法律があります。

この法律は、心神喪失や心神耗弱の状態で重大な他害行為を行った人について、検察官が不起訴処分をしたり、裁判所が無罪としたりした場合に、その人について適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的としたものです。

対象となる重大な他害行為は、殺人、放火、強盗等です。

 

医療や観察を受けさせるべきかどうかは、検察官の申し立てにより、裁判所が判断して決定します。

検察官の申し立てがあると、通常、裁判官が鑑定入院命令をします。

鑑定入院命令がされると、対象者は、指定医療機関に入院し、鑑定を受けます。

入院期間は2か月以内とされますが、1か月延長されることがあります。

 

鑑定の結果等を受けて、裁判所が審判をしますが、審判に際しては、裁判官と精神科医(精神保健審判員)からなる合議体により判断されます。

審判の結果医療観察法による医療の必要性が認められる場合には、入院決定または通院決定がなされます。

入院決定を受けると、指定医療機関に入院し、専門的な医療を受けることになり、裁判所の退院許可が出るまで入院が継続されます。

通院決定を受けると、原則として3年間通院して医療を受けることになります。

通院期間は2年を超えない範囲で延長されることもありますし、状態によっては入院に移行する場合もあります。