戸籍の取付

相続の案件に対応する場合,戸籍の取付を行うことが良くあります。

戸籍の取付は,弁護士であれば,職務上請求という手段を使用して通常行います。

 

職務上請求は,弁護士等,一部の専門家に認められた手続であり,非常に有効な

手段です。

戸籍の取得をする目的は,主に相続人の確定にあります。

戸籍を辿ることで,相続人が誰かを洗い出すことができます。

ときには,依頼者の方も把握していない相続人が見つかるなどすることもあります。

 

戸籍の取得にどの程度の時間を要するかは,案件によって異なります。

簡単なものであれば,数回請求することで完了しますので1か月もかからず

完了することもあります。

戸籍が何度も移動しているような方がいたり,相続人が多数いたりすると,

何度も職務上請求しなければならず,それだけで何か月もの期間を要する

場合もあります。

 

戸籍を取り付けるだけなので,簡単ですぐ終わるようにも思えますが,実は,

案件によっては非常に時間がかかることもあるのです。

 

相続人の確定のための戸籍の取り付けは,個人の方でもできますが,時間が

かかる場合もありますし,誰が相続人であるかを判断するのが難しい場合もあり

ますので,必要がある場合には,弁護士に相談していただくと安心です。

債権者代位権

債権者代位権については,現行民法でも規定されています。

新しい民法でも,債権者代位権についての規定がありますが,大きく改訂

されるようです。

 

もともと,債権者代位権は,債務者がいわゆる無資力である場合に限り

行使可能と解されていました。

新民法では,「自己の債権を保全するため必要がある」場合に債権者代位

権が行使可能とされています。

この「自己の債権を保全するため必要がある」という言葉について,現行

民法と同様に考えれば,無資力であることを要求していると考えることに

なるでしょう。

現行民法を前提に積み上げられた判例を否定する趣旨ではなさそうです

ので,おそらく,現行民法と同様,債権者代位権は,債務者が無資力で

なければ行使できないことになるのでしょう。

 

また,従来は,債権者代位権の転用といわれていた登記手続請求権の

代位行使について,新民法では,別途条文で規定しています。

 

債権者代位権の規定において,従来の考え方を修正したとみられるのが

債務者の取立てその他の処分の権限等についての規定です。

現行民法では,債権者代位権の行使後は,一定の条件下ではありますが,

債務者は代位された債権を行使できず,第三債務者は債務者に対して

債務を履行することもできないと考えられていました。

しかし,新民法では,明確にこれができると規定しています。

この点は,従来の考え方とは異なるものですので,今後,いろいろな

影響が出てくるかもしれません。

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士業の仕事

いわゆる士業と呼ばれる仕事には様々なものがあります。

弁護士,税理士,司法書士,社会保険労務士等がこれに該当します。

 

一般的に,弁護士は法律のこと,税理士は税金のこと,司法書士は登記のこと,

社会保険労務士は社会保険や給与に関する仕事をしているというイメージを

抱いている人も多くいるようです。

このイメージどおりの仕事をしている士業も多くいますが,実は,そうではない

仕事をしている士業もいるのです。

 

士業の一部は,今,コンサルタントとしての仕事に重点を置いているようです。

そのような士業は,○○士なら○○といった従来イメージされてきた仕事とは異なる

仕事の仕方をしています。

専門家でない一般の方からすれば,自らの抱えている問題は,だれに相談するのが

最も適切かを判断するのは簡単ではありません。

特定の信頼できる誰かに相談すれば,その内容に応じて誰にどう相談するべきか,

どのように解決するのが適切かがわかるというのは,非常に便利です。

そのような観点からすると,士業よりもコンサルタントの方が,より求められる

存在になりやすいのかもしれません。

 

昨今,士業は,人数の増加であったり,仕事の減少であったりを理由に,競争が

激化していると言われています。

それにより,以前は資格さえ取れば一生食べていけるといわれていたこともある

士業もありましたが,今では,多くの士業が,資格だけでは食べていけないと

いわれています。

 

そのために,従来のイメージとは異なった仕事をする士業が増えているのかも

しれません。

消滅時効

現行民法では,債権の消滅時効期間は,通常10年間とされています。

10年間とされているのはあくまで原則であり,例外として1年から5年といった

短期消滅時効も規定されています。

たとえば,ホテルの宿泊料請求権は,民法174条4号により,消滅時効期間は

1年間とされています。

病院に行って診察を受けた場合の診療報酬請求権は,民法170条1号により,

消滅時効期間は3年間とされています。

民法以外の法律で短期の消滅時効が規定されているものがあります。

たとえば,商事債権の消滅時効は,商法522条により,消滅時効期間は5年間と

されています。

ところが,民法の改正により,これらの消滅時効の規定が変更されることになります。

改正民法では,民法第170条から第174条までは削除とされていますので,上記の

民法上の短期消滅時効はなくなります。

また,商事債権の短期消滅時効の規定もなくなります。

代わりに,というわけでもないですが,改正民法では,消滅時効期間について債権者が

権利を行使することができることを知った時から5年間,権利を行使することができる

時から10年間と規定しています。

消滅時効に関する規定の変更は,実務に大きな影響を与える可能性があります。

また,一時的には,各債権に対し,改正前と改正後とどちらの消滅時効規定が適用される

のか,という問題が生じる可能性があります。

 

改正後しばらくの間は,各方面でやや混乱が生じるかもしれません。

消滅時効が問題となった場合には,ご自身で判断せず,弁護士に相談された方がよいかも

しれません。

司法試験2018

今年も司法試験が始まりました。

 

法務省のインターネットサイトに掲載されている実施日程によれば,今年は,

5月16日,5月17日,5月19日,5月20日の4日間にわたり行われます。

 

試験会場は,全国で複数個所に設置されています。

東京都内は3会場あり,五反田のTOC,有明のTOC有明,八重洲のTKP東京駅

日本橋カンファレンスセンターに設置されています。

 

今年の司法試験は,初日から3日目までに論文式試験を行い,最終日に短答式

試験を行うようです。

 

論文式試験は,初日に選択科目と公法系,2日目に民事系,3日目に刑事系の

試験が行われます。

短答式試験は,1日で憲法,民法,刑法の試験が行われます。

 

弁護士になるためには,原則として,この司法試験に合格している必要があります。

この司法試験に合格できても,直ちに弁護士になれるわけではなく,さらに長期間の

研修を経て,再度試験に合格しなければ,原則弁護士になれません。

 

私もそうでしたが,試験開始後,問題をみて戸惑うこともあると思います。

そのようなときでも,いったん冷静になり,落ち着いて考えると,回答するべきことが

見えてくると思います。

全員合格とは,なかなかいかない試験ですが,できる限り多くの方が合格するといいと

思います。

 

 

持ち込み国選

都道府県によっては,いわゆる持ち込み国選というものがあるようです。

 

持ち込み国選は,簡単にいえば,国選対象事件について,弁護士が依頼を

受けて,自らを国選弁護人として選任(推薦)してもらい,国選弁護人と

して活動するものです。

 

様々な事情から(例えば別件の依頼を受けていた依頼者さんが逮捕されて

しまう,知人から紹介を受けたが経済的に弁護士を依頼するだけの余裕が

ないなど)弁護人として活動したいが,弁護士費用を支払ってもらうことが

できない場合に,有益な制度だと思います。

 

東京では,どうやらそのような対応はされておらず,持ち込み国選はできない

ようです。

東京以外では,それぞれどのような運用がなされているかはわかりませんが,

採用しているところも採用していないところも,それぞれ何らかの事情がある

のでしょうね,詳細は分かりませんが。

 

何とか力になってあげたいと思っても,なんともし難いことがあります。

特に,依頼を受けている事件の依頼者が逮捕されたようなケースでは,刑事事件も

まとめて対応したほうが,全体として対応しやすいということもあります。

 

できることなら,東京でも持ち込み国選が認められるようになってほしいです。

民事事件では民事扶助制度があるので,同じようにできそうな気もするのですが。

 

多重人格による減刑

東京高等裁判所で,窃盗罪の事案で,多重人格を理由に減刑した判決が出されたようです。

 

過去にも,様々な犯罪において,多重人格を理由に無罪等を主張した事案があるようですが,

裁判所ではなかなか採用されないようです。

しかも,この判決は東京高裁というかなり影響力の強い裁判所で出されているため,実務上の

影響がかなり出そうな気がします。

 

まだ判決文は読めていませんが,どのような理由からこのような結論に至ったのか,これまでの

裁判とどのような点が異なっているのか,とても興味があります。

判決全文が出たら読んでみたいです。

今後,同種の案件に対応する場合には,この判決の内容を踏まえて対応する必要がありそうです。

 

多重人格は,解離性同一性障害という病気のようです。

性質上,詐病と疑われることも多く,医師でも認定が難しいため,誤解を受けやすい病気のよう

です。

複数の人格が交代で現れ,他の人格が出現しているときの記憶はないことが多く,日常生活にも

支障をきたすようです。

詳しくないので,よくわかりませんが,特効薬もないようですし,治療は容易ではないようです。

病気を治すか,少なくとも症状を押さえられるようにしないと,再度同じようなことをしてしまい

かねないので,心配です。

 

 弁護士法人心東京駅法律事務所では,刑事事件を取り扱っています。

弁護士費用保険

弁護士費用を保険で賄うことができるものとして,弁護士費用特約があります。

これは,自動車保険に主に附帯されている特約で,交通事故の被害に遭われた

方が使用できるものです。

 

実際に保険に加入している方のほか,家族や同居の親族等も使用できる可能性

があります。

 

弁護士費用特約は,自動車保険だけでなく,火災保険等にも附帯されていること

があり,内容によっては,自動車保険以外の日常の紛争等にもしようできるもの

もあります。

 

特約として附帯されるもの以外に,弁護士費用の支払いを目的とした保険も販売

されています。

紛争等の内容により,使用できる条件が異なるようですが,様々な問題に対応

しており,非常に有用な保険となっています。

まだ,販売している保険会社は多くはありませんが,今後,販売を予定している

保険会社もあり,より身近な保険の一つになることが予想されます。

 

現時点では,紛争が起こったとしても,弁護士の敷居の高さや費用の高さを理由に

弁護士に依頼をせずに解決しようとしてしまう方や,泣き寝入りしている方も多く

いるように聞いています。

弁護士費用保険が広まると,そのようなことが少なくなり,多くの方が,弁護士に

依頼をしてよりよい人生をおくれるようになると思います。

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自賠責保険・共済紛争処理機構

交通事故に遭った場合,自賠責保険・共済に対して保険金の請求をすることがあります。

弁護士法人心の東京駅事務所でも,毎月かなりの件数,自賠責保険・共済に対して保険金の

請求をしています。

 

治療費等の,傷害分のみ請求することもありますし,後遺障害分について請求することも

あります。

請求をした結果,多くの場合は保険金の支払いを受けられますが,中には,支払えないとの

回答がされることもあります。

例えば,そもそも受傷自体に争いがある場合等です。

 

支払えないとの回答がされた場合,まずは,通常異議申立を行います。

異議申立を行った結果,回答が変わることもありますが,中には回答が変わらないものも

あります。

 

そのような場合,再度異議申立を行うこともできますが,紛争処理機構に対して,紛争

処理の申請をすることもできます。

紛争処理機構による紛争処理によって,結論が変わらないことも多いですが,中には,

処理の結果,結論が変わることもあります。

紛争処理は,1度しかできませんので,1度紛争処理が行われた事案については,再度の

紛争処理はできないため,1発勝負となります。

そのため,十分な準備をしたうえで,申請することが重要です。

 

多くの場合は,そこに至るまでにかなりの準備をしているので,準備不足であることは

少ないと思いますが,それでも,申請前には,これ以上できることはないか,よく検討

することが必要です。

借主追い出しと慰謝料

昨日,東京地方裁判所で,家賃滞納者を追い出した大家さんに

慰謝料等約180万円の支払いを命じる内容の判決が出されました。

 

3か月間家賃を滞納したため,大家さんが,玄関の鍵穴部分を覆う

金属製のカバーを取り付けて住民を締め出したようです。

 

締め出された住民は,ホームレス状態となり,ネットカフェなどで

寝泊まりすることを余儀なくされたようです。

 

慰謝料約180万円は,家財道具の処分により思い出の品がすべて

失われたことや家財道具そのものの財産的価値をも踏まえたもので

あるため,他のケースで同程度の金銭の支払いが命じられるものでは

ありませんが,今後,同様のケースにおいて参考にされる可能性が

あります。

 

もろもろの事情で家賃を滞納する人はおり,そのような住民を抱えた

大家さんから,鍵の交換をして締め出してよいかという相談をいただく

ことがあります。

通常違法と考えられており,刑事処分すら受ける可能性がありますので,

実際にご相談をいただいた際には,やめていただくように回答をしています。

 

刑事処分のみならず,今回の判決のように,多額の金銭の支払いを余儀なく

される可能性もありますので,避けるべきでしょう。

時間と労力と費用が掛かってしまいますが,通常どおり,明渡訴訟を提起して,

正当な手続を経るのがよいと思います。