間接強制却下に対する執行抗告

面会交流を認める調停や審判が成立したものの,子を監護する親が面会交流に応じない場合,

面会交流を求める親は,間接強制をすることができます。

間接強制が認められれば,子を監護する親は,面会交流の応じるまで,毎月一定額の支払義務

を負いますので,間接的に面会交流の実現を図ることができます。

ただ,面会交流の間接強制は,必ずできるものではなく,一定の条件がそろっていなければ

認められず却下されることもあります。

例えば,面会交流の内容が抽象的であるような場合です。

面会交流の頻度が月〇回程度とされていたり,面会の場所が○○近辺とされていたり,面会の

時間が午後などの抽象的なものであったりなどすると,間接強制ができないこともあります。

 

これを避けるためには,調停条項や審判条項を具体的に特定しておく必要がありますが,必

ずしも裁判所が具体的に定めてくれるとは限りません。

むしろ,面会交流を円滑に実現するために,あえて抽象的にして両親の協議により柔軟に実

行していくようにするケースもあります。

具体的にしようとすると,双方の意見の対立が激しくなり,かえって面会交流が実現しにく

くなるということもありますので,そのあたりの判断はなかなか難しいところです。

 

仮に,間接強制が却下されたとしても,その判断に対し,執行抗告を申し立てて争うことも

できます。

執行抗告をする場合には,抗告事件について審理する担当裁判所宛の執行抗告状や抗告理由

書を,却下の判断をした裁判所に提出して行います。

一般論として,抗告審で却下の判断を覆すことは難しいといってよいと思いますが,可能性

がないわけではありませんので,却下の判断に納得できない場合には,執行抗告も検討して

みてもよいかもしれません。

 

執行抗告が認められる可能性がどの程度あるかは,個別のケースにより異なりますので,

執行抗告を検討されている方は,弁護士に相談されるといいと思います。

 

持続化給付金と倒産

コロナの影響で仕事が減少した企業,個人事業主等に対して,事業を継続する

ための資金として持続化給付金が支給されてきました。

経済産業省によれば,今回,支給申請の受付や審査を対応する事務局が新し

くなるようです。

令和2年8月31日までは旧事務局が,令和2年9月1日からは新事務局で

対応するようです。

制度自体が変わったわけではなく,企業の場合が上限200万円,個人事業

主の場合が上限100万円という点に変わりはないようです。

また,一度給付を受けた方は,再度給付申請をすることはできないという点

も変わりはないようです。

 

こういった支援策もあってか,前月の倒産件数は,1991年以降の30年

間で5番目に低いようです。

実態としても上記のとおりであればよいですが,倒産状態にある会社が倒産

するための費用を納められないために,倒産件数としてカウントされていない

可能性もあります。

上記の数字が実態と大きく乖離する事態となっていなければ,と思います。

また,コロナに関連する累計の倒産件数は,すでに全国で300件を超えて

おり,東京だけでも100件を超えているようです。

影響が収束しているわけではありませんので,今後も増加するものと思われ

ます。

 

ただ,弁護士法人心に相談に来られる会社,個人の破産,再生について,実

感としては,想定していたよりも多くはないという状況が続いています。

何とか想定よりも少ない状況で収束を迎えられればと思います。

定期金賠償

令和2年7月9日に,交通事故の逸失利益の賠償について,定期金賠償を認める判

決が最高裁第一小法廷で出されました。

 

この事件は,交通事故により高次脳機能障害を負った被害者の方が,加害者に対し

損害賠償請求をした事件です。

後遺障害を負った被害者の方が損害賠償請求をする場合に,将来の収入喪失・減少

に対する賠償として,逸失利益の賠償請求をすることが多くあります。

逸失利益について,一括での賠償ではなく,定期金の賠償を求めた点にこの件の特

徴があります。

 

判決では,被害者が,「逸失利益について定期金による賠償を求めている場合におい

て」,不法行為に基づく損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められる

ときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される」としていま

す。

さらに,「交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近

い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可

能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しな

いと解するのが相当」としています。

 

そのうえで結論として定期金賠償を認めています。

 

 

一括賠償による場合,中間利息控除がされる結果,賠償額がかなり減額されるという

問題があります。

中間利息の利率については,民法の改正により一部是正が図られているといえますが,

それでもなお,被害者側から見て補償が十分とはいえないのではないかと感じられる

ところもあります。

 

定期金賠償がどのような後遺障害に認められるか,裁判所がいう,不法行為に基づく

損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められるとき」でない場合はどの

ような場合なのか,「特段の事情」が認められるのはどのような場合なのか,等,ま

だ不明確な点は残っています。

 

全ての後遺障害に認められてもよいように感じられる反面,14級9号の場合等,比

較的労働能力喪失期間が短期間に限られることがあるものなど,相当と認められるか

について評価が分かれそうな気がするものもあります。

 

今後,これらの点について最高裁判所がどのような判断をするのか,気になります。

弁護士法人心千葉法律事務所

弁護士法人心千葉法律事務所がオープンしました。

 

弁護士法人心千葉法律事務所は,弁護士法人心の関東での4つ目の事務所,

千葉県内での2つ目の事務所です。

弁護士法人心千葉法律事務所は,千葉県千葉市中央区弁天1-15-3

リードシー千葉駅前ビル8Fにあります。

JR千葉駅北口から徒歩1分のところにあります。

駅から近いのでとても便利だと思います。

 

 

これまでも,千葉県の多くの方に弁護士法人心をご利用いただいておりま

した。

柏の事務所,東京の事務所にお越しいただいた方も多かったと思います。

 

今後は,弁護士法人心千葉法律事務所もご利用いただけるようになり,

これまでよりも,一層弁護士法人心をご利用いただきやすくなりました。

 

弁護士法人心では,悩みを抱える個人の方,会社の方等様々な方の相談

に対応しております。

相続,交通事故,債務整理,離婚,企業法務等,様々な問題に対応して

おります。

 

法律問題でお困りであったり,弁護士に相談しようか悩まれていたりす

る千葉の方は,是非一度,弁護士法人心千葉法律事務所をご利用くださ

い。

ご相談をご希望の場合には,フリーダイヤル0120-41-2403

までお気軽にお電話ください。

電話以外にも,メール等でのお問合せもいただけます。

詳細は,弁護士法人心千葉法律事務所のホームページをご覧ください。

 

弁護士法人心千葉法律事務所のホームページをご覧いただける方は

こちら↓をクリックしてください。

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弁護士法人心四日市法律事務所開設!

弁護士法人心の新しい事務所が開設されました。

弁護士法人心四日市法律事務所です。

場所は近鉄四日市駅徒歩1分,非常にアクセスのよい場所です。

 

四日市市は,三重県内で最も人口の多い都市であり,多くの方が居住

されています。

近鉄とJRの二路線が通っており,交通のアクセスも良いところです。

津地方裁判所四日市支部もあり,多くの裁判が行われています。

最近は,なかなか行く機会がありませんが,私も以前は四日市支部

での裁判を何件も対応していました。

 

同事務所には,弁護士の北野が赴任します。

多数の案件の経験を有する弁護士ですので,きっと多くの方のお悩み

を解決できると思います。

 

弁護士法人心の事務所は,これで全国11カ所になりました。

アクセスが良くなり,これまでご相談にお越しいただくことの難しかった

方にもご利用いただくことができ,ますます多くの方のお力になれると

思います。

 

今後も,弁護士法人心の事務所は開設される予定ですので,より多くの

方にご利用いただきやすくなると思います。

弁護士法人心四日市法律事務所のホームページもございますので,是非

ご覧いただければと思います。

こちらも色々と有益と思われる情報を掲載しております。

今後とも,弁護士法人心をどうぞよろしくお願いいたします。

 

弁護士法人心四日市法律事務所のホームページをご覧いただける方は,

こちら↓をクリックしてください。

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生活支援

コロナウイルスの影響から,廃業する企業が増えているようです。

廃業しないまでも,仕事が減少し,収入が減ってしまったという方が

多くなっています。

 

コロナの影響により収入が減少するなどして生活が困窮してしまった

方に対する支援については,様々なものが用意されています。

厚生労働省が生活支援の制度をまとめたものを出しているようです。

 

ニュースなどで報道されたため,御存知の方が多いとは思いますが,

一人10万円の特別定額給付金があります。

令和2年4月27日時点での住民基本台帳に記録されている方に対し

1人当たり10万円が給付されるものです。

自治体により,すでに給付の申請受付が始まっているところもある

ようです。

東京も一部始まっているところもあるようですが,まだ始まってい

ないところもあるようです。

 

自粛が続けば続くほど,生活に困窮する方も増えていくと思います

し,早めに給付がされるようになるとよいと思います。

 

他にも,緊急小口資金・総合支援資金や持続化給付金,社会保険料

等の猶予,住居確保給付金等様々なものがあります。

 

詳しく知りたい方は,厚生労働省の生活を支えるための支援のご案

内など御覧いただくとよいかもしれません。

 

厚生労働省の生活を支えるため支援のご案内は,こちら

 

休業と給料の支払い

東京を含め全国的にコロナウイルスによる影響は広範囲に広がっています。

 

売上減少により事業の縮小を余儀なくされたり休業を余儀なくされたりしている

所もあるようです。

売上減少だけでなく,感染者が社内で発生したために事業所が閉鎖され,休業を

余儀なくされることもあります。

これに伴って,休業の際に給料の支払いについてどうしたらよいかについて悩ん

でいる経営者の方もいると思います。

給料が支払われるのかについて悩んでいる従業員の方もいると思います。

 

休業と給料の支払いについては,まず民法で規定されています。

民法536条1項では,「当事者双方の責めに帰することができない事由によって

債務を履行することができなくなったときは,債権者は,反対給付の履行を拒むこ

とができる。」とされています。

これに対し,民法536条2項では,「債権者の責めに帰すべき事由によって債務

を履行することができなくなったときは,債権者は,反対給付の履行を拒むことが

できない。」とされています。

 

これらの規定を前提にすると,休業の原因が会社側にない場合には,給料は支払わ

れないことになりますし,休業の原因が会社側にある場合には給料は支払われると

いうことになります。

コロナウイルスの影響を踏まえて,会社が自主的に休業した場合には,会社の「責

めに帰すべき事由」による休業として民法536条2項が適用され,給料が支払わ

れるとなるものと思われます。

ただ,この判断は,その時の社会の状況,会社の状況によって変わる可能性があり,

裁判所の判断によっては,結論が変わる可能性があります。

これに対し,感染者が社内で発生したために事業所が閉鎖された場合には,会社の

自主的な休業ではなく,会社の「責めに帰することができない事由」による休業と

して給料は支払われないとなるものと思われます。

ただ,この場合でも,事業所閉鎖に至る経緯によっては,会社側に「帰責性」があ

ると裁判所が判断する可能性もあり,その場合には結論が変わる可能性があります。

 

給料を支払う必要がない,給料が支払われないとしても,休業手当についてはどう

でしょう。

 

労働基準法26条では,「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては,

使用者は,休業期間中当該労働者に,その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払

わなければならない。」とされています。

この手当が休業手当です。

ここにいう使用者の「責に帰すべき事由」については,民法の「責めに帰すべき事

由」と同じであるとすれば,民法上給料を支払う必要がない,給料が支払われない

となってしまいます。

しかし,最高裁判所は,「使用者の責に帰すべき事由」は,取引における一般原則

である過失責任主義とは異なる観点も踏まえた概念であり,民法536条2項の

「債権者の責に帰すべき事由」よりも広く,使用者側に起因する経営,管理上の障

害を含むものと理解するのが相当としています。

これは改正前民法の時の判例ですが,改正後の民法下でも適用されると思われます。

そうすると,民法536条2項に該当し,民法上は給料を支払わなくてもよい,給

料が支払われない場合であっても,休業手当が支払われる可能性はあります。

 

いずれにしても,休業と給料の支払いについては,個別のケースにより結論が異な

る可能性があり,非常に微妙な判断となる可能性が高いものといえます。

会社側,労働者側,いずれの立場に立つとしても,弁護士に相談しながら慎重に対

応するべきだと思います。

 

ただ,労働基準法には,罰則規定があり,違反すると刑事責任を問われる可能性が

あります。

休業手当を支払わなければならない場合か判断に迷うようなケースであれば,会社

側としては,休業手当は支払った方がよい,となるように思います。

なお,給料を支払わなければならない場合の額について,60%の額であると認識

している方がいます。

多くの方が誤解している点ですが,これは,上記のとおり誤っています。

この点は誤解のないように注意しておきましょう。

 

緊急事態宣言を受けて

先日,緊急事態宣言が出されました。

東京は,緊急事態宣言の対象都府県になっています。

緊急事態宣言を受けて,各社,各施設対応に追われているようです。

 

弁護士の関係するところでは,裁判所の業務が一部中止されています。

東京では,訴訟,調停,債権者集会等が中止され,期日は追って指定されることに

なっています。

弁護士法人心東京駅法律事務所でも,多数の訴訟,調停,債権者集会等に対応して

いましたので,裁判所から順次中止の連絡を受けています。

 

現在進行中の訴訟等だけでなく,新規の訴訟等についても対応が一部停止している

ようです。

すでに,破産,再生の申立てについては,緊急のものを除き,申立を控えるように

裁判所から弁護士会に要請があったようです。

訴訟,調停等については,訴状や申立書を提出しても,日程の調整がされていない

ものがあるようです。

 

少なくとも5月6日までは裁判所の業務の多くが中止され続けるようですが,それ

以後については,緊急事態宣言が延長されるかどうか,コロナウイルスの感染者数

がどう推移するかによって変わると思われます。

 

また,コロナウイルス対応により,多くの方の仕事が減少し,収入が減少している

ようです。

債務整理の相談を希望される方も多くなっており,多くの方が悩まれているものと

思います。

他にも,緊急事態宣言を受けて対応をどのようにしたらよいかなどの相談を,個人,

会社の方からいただいています。

なんとか多くの方のお悩みを解決し,安心して生活していただけるようにしたいと

思います。

 

社会的にかなりの影響が出ており,この状況が続けば続くほど,悩まれている方も

増えていってしまうと思います。

早期にこの状況が落ち着いて,悩みを抱える方が少しでも少なくなればと思います。

 

 

 

新型コロナウイルスの影響

今日は東京でも雪が降りました。

一部積もったところもあったようです。

外を見ると,屋根の上や車の上など,雪が積もっているところがありました。

桜が咲いているところに雪が舞うというのは,それほど多くはないように思います。

 

昨日,本日と,東京では外出を控えるように要請が出されています。

これを受けて,東京都内では,通常の土日よりも外に出ている人は少ないようです。

新型コロナウイルスにより,社会に大きな影響が出ています。

各地で行われているセミナー,研修,イベントも,中止になったりオンラインになっ

たりしています。

 

弁護士の仕事としても,直接の影響だとは断定できませんが,債務整理の相談が

増えてきているように感じます。

仕事が減って収入が減り,返済が厳しくなった,賞与の減少が見込まれ,この

ままでは近いうちに返済が滞ってしまう,などと悩まれている方も多いと思い

ます。

そのような方は,弁護士に相談することで,悩みが軽減されたり解決されたり

するかもしれません。

 

相続の相談はやや減少しているように感じます。

きくところによると,外に出づらいため,弁護士事務所に行って相談すること

を控えているようなこともあるようです。

 

交通事故については,不安で通院しづらいという相談が出ています。

通院した方が体が回復しやすくなると思いますので,できる限り通院した方が

よいのでしょうが,新型コロナウイルスに感染する不安もあると思いますので,

なかなか難しいところだと思います。

医療機関の中には,コロナウイルス対策をしているところもあると思いますので,

そのようなところに通院されるのも一つかもしれません。

 

今後,社会状況がどのようになるかはわかりませんが,新型コロナウイルスの

脅威が去り,多くの方が安心して生活できるようになるとよいと思います。

 

 

 

 

 

組織マネジメント研修

2月は他の月と比較して日数が少ないですが,祝祭日が2日もあるのでより働く日数が少なく

感じる方もいるのではないでしょうか。

 

今日は,会社経営者向けの組織マネジメント研修に参加しました。

会社を経営するうえで生じる問題としては,大きく,人,物,金の問題があるといわ

れます。

組織マネジメントは,そのうちの人の問題に関するものです。

確かに会社経営者の方と話をしていても,人,物,金の問題が出てくることが多い

ように感じます。

このうち,特に弁護士としてかかわることが多いなと感じるのは,人の問題です。

組織マネジメント研修に出ることで,会社の人の問題について相談を受けた際に,

今日学んだことが役立つかもしれないと感じました。

 

弁護士が組織マネジメント研修に参加するということ自体珍しいことかもしれません。

特に会社経営者向けの組織マネジメント研修に出るということはより少ないかもしれ

ません。

ただ,組織マネジメントは,弁護士事務所の中でのマネジメントに役立つ点もあり

ますし,会社関係の仕事をする際にも役立つものだと思います。

 

組織マネジメントにおいても,コミュニケーションが重要のようです。

組織である以上,複数の人が所属しますので,それに伴い,様々なコミュニケーション

が生じます。

適切なコミュニケーションをとることで組織がうまく回っていきやすくなるようですね。